2013年4月10日水曜日

低迷相場のことは忘れよう

このエントリーをはてなブックマークに追加
日本の株式市場はバブル崩壊以降20年以上低迷を続けてきた。株価は上がっては下がりを繰り返し長期的には右肩下がりだった。これは世界の株式市場と比べて明らかに異常だ。株価というものは本来、上下を繰り返しながら指数関数的に値上がりしていく。指数関数的というのは10, 20, 30, 40, 50ではなく、10, 20, 40, 80, 160と上がっていくということだ。そう言われても、日本の株式市場しか知らない人には信じがたいだろう。
これはMSCI World Indexという、先進国の株式市場全体の株価指数のグラフだ。期間は1969年12月31日から2013年4月9日までである。ITバブル崩壊(2000年)とリーマンショック(2008年)の下落が大きくわかりづらいが、それでもグラフの右に行くほど傾きが急な右肩上がりなのがわかる。これは配当抜きのグラフであり、配当込みなら傾きはもっと急になる。
これは同じグラフの対数グラフだ。指数関数的に変化する値を対数グラフにすると直線的なグラフになる。明らかに株価が指数関数的に値上がりしていることがわかる。ちなみに値下がりも指数関数的に進む。リーマンショックはわかりづらいが、ITバブルの崩壊では指数関数的に下がっているのがわかる。

このように指数関数的に上下を繰り返し、長期的には指数関数的な右肩上がりになるのが株式市場の「本来の値動き」だ。市場が正しく機能していれば、株式に限らずリスク資産の価格は必ずそのように動く。それと比べると、この20年間の日本の株式市場は異常だ。この先何十年もこの状態が続くことは金融工学的にありえない。この低迷相場はいつ終わっても不思議はなかった。

昨年秋に欧州債務危機が落ち着き、アメリカの景気回復も明確になったが、日本の株式市場はそれに反応せずに割安なままだった。このタイミングで株式市場に火を付けたのがアベノミクスだ。今回の上昇相場をきっかけに日本の株式市場は「本来の値動き」に戻るはずだ。この先再びバブルになることも、はじけることもあるかもしれないが、本来の値動きから外れることはありえない。そうでなければ株式市場ではない。

株式市場が本来の値動きになったら、低迷相場でうまくいっていた資産の運用方法はうまくいかなくなる。その一つが積立投資だ。毎月の給料から積み立てるのは問題ないが、まとまったお金があるのに、リスクを下げるために毎月積み立てるのは意味がない。指数関数的な値上がりにまったく着いて行けずにリターンが減るだけだ。

株価の値動きに合わせて売買して利益を出すのもうまくいかなくなる。これまで株価は、ある程度上がったら下がり、下がったらまた上がるのを繰り返していた。そのため上下に合わせた売買で利益が出ていたが、これからはそう甘くない。ある程度上がったところで売ったら、そのまま株価が上に飛んで戻らないことが、たびたび起きるようになるからだ。

株式の長期投資で最も優れた運用方法は、インデックスファンドを買ったまま何十年も売らないバイアンドホールドである。それはMSCI World Indexのグラフを見ればわかる。ITバブル崩壊とリーマンショックのときに、うまく売買すれば利益を増やせたかもしれない。しかし、それをしなくても十分利益を得られるのが株式市場だ。日本の株式市場はこの20年間はそうではなかったが、これからは違う。下手な小細工は裏目に出るので気を付けたほうがいい。

0 件のコメント:

コメントを投稿