2012年12月8日土曜日

新興国の株式に投資するべきか

このエントリーをはてなブックマークに追加
中国、インド、ブラジル、ロシア、トルコなどの新興国株式の指数、「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」に連動するインデックスファンドが最近増えている。運用資産に新興国株式のインデックスファンドを組み入れている個人投資家も増えてきた。停滞の見える先進国より、今後の成長が見込める新興国の株式に投資するのは合理性がある。公的年金の運用にも今年の6月から新興国の株式が加えられている

新興国株式のリターンを見てみると、ここ数年はかんばしくない。新興国は通貨と株式のどちらの市場も先進国と比べて小さく、少ない資金の流入・流出で資産価値が大きく変動するためリスクが高い。経済危機や信用不安が起こると世界の運用資金はリスクの高い資産から低い資産へと動く。そのためリーマンショックと欧州信用不安の影響を新興国の株式は先進国より大きく受けている。

とはいえ、10年間の平均リターンを見ると新興国のほうが圧倒的に良い。「わたしのインデックス」に掲載されている、日本を除く先進国の株式の指数「MSCIコクサイ」と「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」の円建ての年平均のリターンを示したのが以下のグラフである。
MSCIコクサイの年平均リターン
MSCIエマージング・マーケットの年平均リターン
10年間の平均リターンでは、先進国の+3.6%に対して新興国は+11.7%と圧倒的だ。もし10年前に新興国の株式に100万円投資していれば302万円になっている。15年でも先進国+2.4%に対して+5.8%である。

20年前までさかのぼると差がなくなってしまうのは、アジア通貨危機があったからだ。アジア通貨危機は、アジアの新興国の金融政策の稚拙さにヘッジファンドがつけ込んだことで起こった。今後も同様の金融政策の誤りが新興国で起こる可能性は否定できず、為替リスクは依然として高いと私は考えている。

私は新興国の株式に投資していない。先進国の企業の多くは新興国で利益を上げており、新興国の経済成長はそのような企業の株価を押し上げている。新興国の株式はリスクがかなり大きく、特に為替リスクの大きさが気になる。資産の分類(アセットクラス)を増やすと、その割合の決定やリバランスの手間が増えるので、私は外国株式の資産を先進国に集中させている。

新興国の債券についても見てみよう。日本を除く先進国の債券の指数「シティグループ世界国債インデックス除く日本」と新興国の債券の指数「JPモルガンEMBIグローバル」の円建ての年平均リターンを示したのが以下のグラフである。
シティグループ世界国債インデックス除く日本の年平均リターン
JPモルガンEMBIグローバルの年平均リターン
5年間の成績が振るわないのは円高のためだ。新興国の20年のデータがないのはまだ指数の算出が行われていないからで、アジア通貨危機の影響はわからない。リスクは新興国の債券のほうが大きいが、リターンはそれに見合うものになっている。私は株式で非常に大きなリスクを取っており、債券ではリスクを取りたくないので今のところ私は投資していない。今後資産に組み入れる可能性はある。

0 件のコメント:

コメントを投稿