新興国株式のリターンを見てみると、ここ数年はかんばしくない。新興国は通貨と株式のどちらの市場も先進国と比べて小さく、少ない資金の流入・流出で資産価値が大きく変動するためリスクが高い。経済危機や信用不安が起こると世界の運用資金はリスクの高い資産から低い資産へと動く。そのためリーマンショックと欧州信用不安の影響を新興国の株式は先進国より大きく受けている。
とはいえ、10年間の平均リターンを見ると新興国のほうが圧倒的に良い。「わたしのインデックス」に掲載されている、日本を除く先進国の株式の指数「MSCIコクサイ」と「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」の円建ての年平均のリターンを示したのが以下のグラフである。
MSCIコクサイの年平均リターン |
MSCIエマージング・マーケットの年平均リターン |
20年前までさかのぼると差がなくなってしまうのは、アジア通貨危機があったからだ。アジア通貨危機は、アジアの新興国の金融政策の稚拙さにヘッジファンドがつけ込んだことで起こった。今後も同様の金融政策の誤りが新興国で起こる可能性は否定できず、為替リスクは依然として高いと私は考えている。
私は新興国の株式に投資していない。先進国の企業の多くは新興国で利益を上げており、新興国の経済成長はそのような企業の株価を押し上げている。新興国の株式はリスクがかなり大きく、特に為替リスクの大きさが気になる。資産の分類(アセットクラス)を増やすと、その割合の決定やリバランスの手間が増えるので、私は外国株式の資産を先進国に集中させている。
新興国の債券についても見てみよう。日本を除く先進国の債券の指数「シティグループ世界国債インデックス除く日本」と新興国の債券の指数「JPモルガンEMBIグローバル」の円建ての年平均リターンを示したのが以下のグラフである。
シティグループ世界国債インデックス除く日本の年平均リターン |
JPモルガンEMBIグローバルの年平均リターン |
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