2012年12月25日火曜日

アセットアロケーションを分析してみる

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アセットアロケーションを国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の4つの資産に同じ割合で投資するように決めたとする。金額は25万円ずつ100万円運用したとしよう。このアセットアロケーションを「長期投資予想/アセットアロケーション分析」で分析すると、期待リターン(年利)が3.58%でリスクが9.61%となる。30年後の運用結果の最頻値は195.1万円で年率は約2.3%となる。

そのほかのデータも表示されるが、重要なのは「4. アセットアロケーション分析」だ。このアセットアロケーションは効率的フロンティアから大きく下に外れている。つまり取っているリスクに対して期待リターンが少なく、効率の良くないアセットアロケーションということだ。
現代ポートフォリオ理論によるアセットアロケーションの分析には、各資産の期待リターンとリスク、および各資産の価格変動の相関係数の推計値が必要である。これらは各資産の過去の値動きを元に推計する。この推計は個人投資家では難しく、年金運用機関などが推計して公開しているものを利用するのが一般的だ。

この分析が基にしているのは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が平成20年6月30日に公表した「基本ポートフォリオの検証について」という資料に掲載されている数値に、独自の修正を加えたものだ。この資料に載っている数値は以下の通りである。これは1973年~2007年のデータに基づいて推計されている。
GPIFによる推計値
期待リターンとリスク
期待リターンリスク
国内債券2.8%5.40%
国内株式5.3%22.15%
外国債券3.4%13.25%
外国株式6.0%19.59%
相関係数
国内債券国内株式外国債券外国株式
国内債券1.00
国内株式0.161.00
外国債券-0.06-0.251.00
外国株式-0.050.270.561.00
分析の基になっている推計とは、各資産のリターンが異なっている。平成20年ではなく平成16年の推計が用いられており、国内債券のリターンが1%に修正されている。平成16年の数値なのはミスだと思うが、国内債券のリターンの修正は意図的なものだろう。

GPIFによる国内債券の期待リスクとリターンの推計は現状にそぐわないと考える人が多い。今後の国内債券の値動きが±5.40%も振れるとは考えにくいし、物価上昇率(CPI)推計値1.0%を載せているので期待リターンも大きすぎる。リスクが5.40%でも期待リターン2.8%はかなり大きい。

この推計値に基づく効率的フロンティア上のアセットアロケーションは、国内債券の割合を大きくしたものだけになる。今後予想される金利上昇による長期債券価格の下落を考えると、今から国内債券に大きく投資するのが得策とは思えない。しかし、国内債券のリターンだけを1.0%に修正するのは強引過ぎる。

もし国内債券の期待リターンとリスクの推計が信用できないのなら、単に1.0%に変更するのではなく、より現実的だと思う推計値を入手する必要がある。それについては「期待リターンとリスクおよび相関係数」で説明する。

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